ストーカー規制法

ストーカー規制法

ストーカーという言葉が使われだしてから、実はまだ日が浅いのですが、今やその言葉は日本中に浸透したといえます。ストーカーに関する警察への相談は激増しており、誰もがストーカー行為の被害者になりうる時代といえるでしょう。
そんな状況の中、平成12年5月24日、「ストーカー規制法」(「ストーカー行為等の規制等に関する法律」)が制定され、11月24日から施行されました。

目的

この法律は、ストーカー行為等について必要な規制を行うとともに、ストーカーの被害者に対する援助の措置を定めることによって、個人の身体、自由及び名誉に対する危害の発生を防止し、国民の生活の安全と平穏を助けることを目的としています。

この法律で取り締まることのできる行為とは?

「ストーカー規制法」では、ある人に対して恋愛感情や好意の感情またはそれが満たされなかったことに対する恨みの感情を充たす目的で、被害者やその家族などにつきまとい等の行為をくりかえすことを取り締まることとしています。
よって、単に恋愛感情やあこがれの感情などを抱いているだけでは取り締まることはできないということになります。

取り締りの対象となる行為

1.つきまとい等

  • つきまとい、待ち伏せ、進路に立ちふさがり、被害者が通常いる場所(住居や勤務先、学校など)での見張りや押しかけ
  • 行動を監視していることを告げる
  • 面会や交際など、被害者に義務のないことを要求する
  • 著しく乱暴な言動をする
  • 無言電話や、拒まれたにもかかわらず連続して電話やファックスを送信する
  • 汚物や動物の死体などを送る
  • 名誉を害することを告げる
  • 性的羞恥心を害することを告げたり、性的羞恥心を害する文書や図画などを送る

2.ストーカー行為

同じ被害者に、同じような「つきまとい等」を繰り返し行うこと。

ストーカー規制法では、どのような救済がされるのか?

まず、ストーカーが「つきまとい等」の行為を行った場合、そのことを警察に申し出て、警察が、繰り返し「つきまとい等」を行うだろうと判断すれば、そのような行為を行わないようにとの警告を発してくれます。
また、被害の防止に緊急を要する場合には、「つきまとい等」をやめるよう、「仮の命令」を出すこともできます。
その警告を受けてもなお、ストーカーが「つきまとい等」の行為をやめない場合は、そのような行為をしてないけない!という「禁止命令」を出してくれます。
そして、この「禁止命令」反して、さらに「つきまとい等」の行為を続けたストーカーには、50万円以下の罰金が科せられます。
一方、ストーカーが「つきまとい等」にとどまらず、「ストーカー行為」に及んだ場合は、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられます。
なお、この「ストーカー行為」をしたストーカーに対しては、警察に告訴することが認められていて、その場合、裁判で有罪となれば、6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金の刑が科せられます。
ストーカーの被害者が自分で被害に対処したいという場合、警察に被害を訴えれば、ストーカーの行動の証拠の集め方や、防犯器具などの貸し出しなど、適切な援助をしてくます。
ストーカー被害が激増する現状の中、法律に頼るだけではなく、一人一人が危機感をもって生活することがとても大切になってきています。
事件がおきてからでは遅い!という自覚のもと、早めに家族や警察、弁護士などに相談して、適切な対処方法を考えていきましょう。


神奈川県弁護士会・港都綜合法律事務所