夫の不倫相手の女性が婚約不履行を理由に慰謝料を請求しています。 夫は支払わなければならないのでしょうか? 私が彼女に慰謝料を請求することはできますか?

2012/10/05 離婚・男女間問題 by admin

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33歳の夫が2年ほど前から部下の独身女性と不倫をしていました。
相手の女性は、夫に妻子があることは初めから知っていましたが、夫は私との夫婦仲がうまくいっていないと嘘をついていたようです。
最近彼女が妊娠しましたが、夫の説得の末、中絶したようです。
夫はもう彼女との関係を切りたいと思っていますが、彼女が婚約不履行だと言って夫に慰謝料を請求してきています。
夫は支払わなければならないのでしょうか?
また逆に、私が彼女に慰謝料を請求することはできますか?
婚約とは、将来適法な結婚をしようとする男女間の合意をいいます。
日本では、法律上、二重に婚姻すること(重婚といいます)は禁止されていますので、一般的には、既に妻子ある夫が、いわゆる不倫関係にある女性に結婚を約束したとしても、それは適法な(法的に保護される)婚約とはいえません。
もっといえば、かかる婚約は、公序良俗に反し無効であるといえます。
したがって、今回のケースでも、基本的に、夫は婚約不履行を理由とする損害賠償責任は負わない、ということになります。
しかし、彼女が夫と親密になり、男女関係をもち、妊娠するにまでいたった主な原因は、夫婦仲が上手くいっていないと嘘をつき、結婚を期待させた夫の言動・行動にあるとも考えられますし、そのうえ彼女は最終的に中絶までしなければならなかったのですから、これら一連の経緯の中で、相当な精神的苦痛を負ったと考えられます。
慰謝料というのは、精神的苦痛に対する賠償のことをいいますので、婚約不履行という理由ではないにせよ、主として夫の言動・行動が原因で彼女が精神的苦痛を負ったと考えられる以上は、夫が彼女に慰謝料を払わなければならないということも十分考えられます。
他方、視点を変えて妻から見れば、彼女と夫が親密になり、男女関係をもち、妊娠までいたったことは、その二人が共同して適法な婚姻生活の平穏を侵害し、その結果として、妻に多大な精神的苦痛を負わせたといえます。
したがって妻は、基本的には、彼女と夫の双方に対し、慰謝料請求ができるということになります。


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神奈川県弁護士会・港都綜合法律事務所