酒に酔った夫が人を殴って怪我を負わせてしまいました。夫は犯罪者として刑務所に入ることになるのでしょうか?
2012/10/05 その他の取り扱い分野 by admin
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ある晩、夫が友人と居酒屋でお酒を飲んでいたら、隣の席の男性とふとしたことから口論になり、お酒の勢いもあってその人を殴ってしまい、全治1か月の怪我を負わせてしまいました。
夫は駆けつけた警察官に逮捕され、そのまま拘置所に拘束されましたが、酔っていたため事件の詳しい状況は覚えていないようです。
私たちは知り合いの弁護士もいないので、何をどうしたらいいのか困っています。
夫はこのまま犯罪者として刑務所に入ることになるのでしょうか。 -
旦那様は、傷害罪で逮捕され、現在「勾留」という身体拘束手続の最中と思われます。
検察官は、勾留の満期前に、事件に関する全ての事情を踏まえて被疑者(犯罪を行った疑いのある人)の処分(起訴・不起訴・起訴猶予等)を決めます。
傷害罪の場合、暴行の態様、傷害の程度、事件に至る経緯、被害者の感情、被疑者の反省、示談の成立、被疑者の前科前歴等の事情を基に判断されます。これらの中で特に重要なのは、最初の2つと示談の成立です。
旦那様について分かっているのは、被害者を殴ったということと、被害者が全治1か月のけがを負ったということだけであり、これだけでは、具体的な処分の内容を予測することはできませんが、被害者のけがの程度が決して軽くはないことを考えると、もし示談が成立しないと、起訴される可能性が高いと思われます。
起訴にも大きく分けて2種類あり、通常の裁判を受けることになる公判請求の外、事実を認めた上で罰金刑が科される略式起訴(いわゆる刑事裁判は受けません。)があります。旦那様が公判請求になるのか略式起訴になるのかは、前記のような様々な事情を踏まえて、検察官が決定しますので、現時点は判断できません。
公判請求されると、刑事裁判を受けることになりますが、旦那様が刑務所にいくかどうかは、この裁判で実刑判決を受けるか、執行猶予判決を受けるかどうかによって決まります。裁判においても、前記のような様々な事情を踏まえて判決が下されますので、公判請求を受けた場合に、実刑判決を受けるかどうかは、現時点では判断できません。
以上のように、旦那様がどのような処分を受けるのかは、現時点では何とも判断できませんが、被害者との示談が成立しない限り、起訴される可能性が高く、また起訴された場合に実刑を受ける可能性もゼロとはいえない状況だといえます。そのため、検察官による処分が決まる前に、何とか被害者と示談を成立させることが重要となってきます。
もっとも、警察は、被疑者やその家族に対して、被害者の連絡先を教えてはくれないですし、被害者から連絡が来ることも期待できませんので、示談を進めるには、弁護士に頼まなければ事実上困難といえます。また、示談交渉だけでなく、被疑者段階で弁護人を付けることにより、接見に繰り返し行って被疑者を勇気付けることもできますし、身体拘束の効力を争うこともできるなど様々なメリットがあります。
そのため、速やかに弁護士に依頼する必要がありますが、もし弁護士の知り合いがいないのであれば、「当番弁護士制度」を利用することをお勧めします。「当番弁護士制度」は、弁護士会が本人や家族からの要請に応えて、弁護士を留置施設まで1回だけ無料で派遣する制度で、これにより旦那様は、派遣された弁護士から具体的なアドバイスを受けることができますし、希望すれば弁護を依頼することもできます。
もし、弁護士に依頼するような費用を準備できなくても、傷害罪のように一定程度の重い刑罰が定められているような罪で身体拘束されたのであれば、「被疑者国選制度」を使って被疑者段階から国選弁護人を付けることができます。
以上のように、とりあえずは、あなたから弁護士会に連絡して、当番弁護士の派遣を依頼するのがよいと思います。その上で、派遣された弁護士に弁護を依頼するか、旦那様から被疑者国選弁護人を請求するかして、速やかに弁護人を付けるべきでしょう。