少年犯罪

少年犯罪

犯罪の低年齢化という言葉をよく耳にします。
実際、少年による凶悪犯罪の例も珍しくはありません。
このような風潮の中、少年法改正の是非が問われ、2001年に、刑罰適用の年齢をこれまでの16歳から14歳に引き下げるなど、いくつか内容が見直された「改正少年法」が施行されました。ここでは、少年犯罪の過程、少年犯罪に対する処遇などをみていきたいと思います。
(ここでの「少年」は少年法などによって、満20歳に満たない男女を指しています。)

非行の始まりは出来心?!

人は誰でも、生まれながらに犯罪者というわけではありません。
家族、学校、友人関係など、何らかの精神的な不安定感を持つ少年が、ある時偶然に犯罪の誘引場面に出くわし、“出来心”で行ってしまう場合がほとんどです。
少年が初めて起こす非行を「初発非行」といいますが、この代表といえるのもが“万引き”です。
この初発非行に対する周りの処置の仕方が、その後の非行の展開に大きく影響を与えるといわれています。

初めての万引きがばれなかった場合

この成功感が以後の万引きを誘発する可能性があります。

初めての万引きがばれた場合

①その場での注意程度にとどまるやさしい対応がされた場合
→「またやろう!」と思う可能性があります。

②警察に通報されるなど厳しい対応がされた場合
→「出来心なのに!今度はばれないようにやろう!」と思う可能性があります。

集団性

仲間の間で、「万引きくらい誰でもやってる」とか「万引きは単なる度胸試しだ」などの考えが一般化してしている場合は、万引きが積極的に行われる傾向があります。
そして、そのような環境では万引きは遊び感覚で繰り返され、いずれ他の非行を併発する可能性が高いといえます。

対処の仕方

何をやっても怒られないようなやさしい家庭環境が原因で非行を行った少年に対しやさしい対応をとること、または厳格な家庭環境が原因で非行を行った少年に対して厳しい対応をとることは、必ずしも再犯防止には逆効果で、かえって非行を再発させることもあります。
初発非行ではとくに一人一人の少年の非行に至った心理過程に適した指導が求められます。

非行少年の特徴

非行少年は一般的に、さまざまな成功や失敗を自分自身ではなく家庭や学校などの外部環境のせいにする傾向があります。
また、自分の行動をコントロールするものまでも、自分自身ではなく外部に求めます。
そして、将来に対しては「どうせだめなんだから努力しても無駄だ」と、意欲を失った“無力”状態にあるようです。
したがって非行少年には、自分の‘良心’に基づいてルールを守るという感覚はなく、あくまでも「禁止されているから」とか「ばれると怒られるから」という理由で ルールを守るにすぎません。
そのため、「じゃあ、見つからないようにやればいいんだ!」という思考にいきがちです。
また、喫煙や飲酒・売春などの非行に関しては「誰にも迷惑をかけてるわけじゃない!」と非行を正当化して行う傾向があります。
このようにして非行を行う少年は、自分が犯罪を行っているというはっきりした自覚をもたないまま、その場が楽しければいいという刹那的な非行を繰り返し、その場の欲求を満たすことに終始します。

非行少年の処遇

非行少年の行動に対しては、少年の成長過程という特質上、個々の少年に適した対応がなされます。

犯罪少年(14歳以上20歳未満の刑罰法令違反者)

少年法に基づき家庭裁判所を中心とした司法機関により扱われる。

触法少年(14歳未満の違法者)

児童福祉法に基づき児童相談所を中心とした行政機関により扱われる。

虞犯少年

少年法により、保護者の正当な監督に逆らったり、正当な理由もなく家出をしたり、犯罪性のある人と交際するなど、将来犯罪を起こすおそれのある少年を「虞犯少年(ぐはんしょうねん)」として審判の対象とできる。

少年院はどんなところ?!

少年院とは、一定期間少年を隔離することによって集中的に矯正教育を行い、少年の更生を目指すところです。
少年院は、年齢・心身の状況・犯罪傾向の程度によって、以下のように4種類あり、医療少年院を除きそれぞれ男女別に設置されています。
収容される少年院は、家庭裁判所の判断により決まり、収容期間は原則として2年以内とされています。

少年院での処遇

少年院に入ると、まずは面接や心理テストによって、少年の境遇や経歴や性格などが把握され、個々の少年に適した処遇が検討されます。

生活指導

問題点の改善や考え方の矯正を図るためのもの。

「教科指導」

義務教育や高等教育を実施。

「職業補導」

勤労意欲を養い、将来の職業のために知識や技術を身につける。


神奈川県弁護士会・港都綜合法律事務所