ペットの法律問題
ペットトラブル
国民の過半数がペットを飼っていると言われるペット先進国アメリカやフランスに、近年は日本も並びつつあるといわれています。
そして今やペットは人と生活を共にし、家族同然といえる時代になりましたが、一方でペットをめぐるトラブルの件数が増えているというのも現状です。
当事務所でもペットの法律相談が増加しています。
ペットの位置づけを改めて確認し、日常の中でおきやすいトラブルの数々を見てみましょう。
ペットは「物」?
法律上、ペットは「物」として扱われます。
「物」である以上、ペットが契約の当事者になったり、憲法上の人権を保障されたり、刑法上の罰則を適用されたりということはありません。
ペット名義の貯金はできる?
飼い主の名義で口座を開設し、この口座をペットのために使用するということで、飼い主の名前の後に「○○(ペット名)専用」とできる場合があります。 |
ペットに対して財産の贈与や遺贈はできる?
自分の死後にペットを飼育してくれる人に対して、ペットと共に財産を贈与または遺贈し、その際にペットを飼育する義務を付することができるにすぎません。 作成等につきましては、お気軽にご相談ください。 |
ペットが他人にかみついた場合に刑罰の対象となる?
傷害や過失傷害などで処罰されるのは飼い主であり、ペットが刑罰の対象になることはありません。 |
よくあるペットトラブルQ&A
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散歩中にフンを放置している人がいますが、許されるのでしょうか? -
みだりにフンを放置することは法律違反です。
現行犯で注意するのが難しければ、保健所で配布しているフン持ち帰り奨励のプレートを貼ったり、町内会などで協力し合って動いたり、地方自治体の生活に関する苦情受付けに相談するのも良いでしょう。
あまりに悪質な場合は、警察に通報する、簡易裁判所に民事調停を申し立てをして話し合いの機会を設ける、また場合によっては、民法に基づいて損害賠償請求ができる場合もあります。 -
野良猫に餌をあげていたら近所の人から注意されました。
いけないことなのでしょうか? -
餌をあげている以上は飼っていないでは通らないとして損害賠償責任が発生することもありえます。
かわいそうだから、自分のうちでは飼えないからという理由から野良猫に気軽に餌をあげてしまう人は結構いると思います。
しかし、そのせいで、食べ残しの餌に虫がたかったり悪臭がしたり、また庭がフンだらけになったりと周りに大きな被害を及ぼすこともあります。
例えば餌をあげているだけの野良猫が、近所のうちの高価な盆栽を壊してしまった場合、餌をあげている以上は飼っていないでは通らないとして損害賠償責任が発生することもありえます。
責任を持って、近所の人の理解を得ながら行うことが大切です 。 -
飼い犬が塀越しに吠えて、それに驚いた近所の子どもが転んで怪我をしてしまいました。
この場合、飼い主はどこまで責任を負えばいいのでしょうか? -
犬の管理等に過失がなかったと証明できない限り、原則として損害賠償責任を負わなくてはいけません。
民法によると、飼い主は犬が他人を傷つけたり他人の物を壊した場合には、犬の管理等に過失がなかったと証明できない限り、原則として損害賠償責任を負わなくてはいけません(民法718条)。
犬の飼い主としては、「自分の犬は直接子どもに怪我をさせたわけじゃない、転んだ本人が悪い」と言いたいかもしれませんが、犬に吠えられて驚いて子どもが転んでしまうということは通常考えられることである以上、過失がなかったと証明することは難しい場合の方が多いでしょう。
よって、損害賠償責任として、子どもの怪我の治療費・家族の病院への付き添いによって生じた休業損害・怪我をして通院したことに対する慰謝料を支払わなくてはいけないことになります。 -
ペットショップから買ったペットが買ってすぐに死んでしまいました。 -
売主は健康なペットを引き渡さなかったという債務不履行責任が生じます。
売主には「健康でかつ先天的な障害のないペットを飼い主に渡す」という義務があります。
このケースの場合、売主は健康なペットを引き渡さなかったという債務不履行責任が生じます。債務不履行責任とは、債務者が約束、または法律で定められている義務を果たそうとすれば果たせるにもかかわらず、わざとあるいは不注意で果たさなかった場合に、それによって相手方に生じた損害を賠償しなければならないという責任です(民法415条)。
売主がこの責任を免れるには、自ら落ち度がなかったことを明らかにしなければなりません。売主がそれを明らかにできなかった場合、ペットの代金と、治療したのなら、その治療費を請求することができます。